神尾クンの挑戦






「いつ来ても深司の部屋は綺麗だな」

伊武の部屋のベッドで神尾はくつろぎながら言った。

そんな神尾を見て、当の本人は隣でポツリとつぶやく。

「別に普通だろ、つうかアキラの部屋が汚いんだよ」

掃除しろよな。と付け加える。

神尾はよく伊武の家に泊まり、次の日に一緒に部活にいくことが多々ある。

今日も泊まる気満々だった。

「なぁ、深司」

神尾が不意に伊武の名前を呼んだ。

伊武は何?と短く答えると神尾の方に顔を向ける。

神尾は伊武の肩を抱き寄せた。

「アキラ?」

「ごめん、深司。俺、今月金欠で深司にプレゼント買えなかった」

伊武を抱きしめながら、神尾はそう残念にいった。

伊武は妙な期待をしていただけに、その言葉はあきれ返った。

「何だよ、それ。別に俺にはアキラがいれば、プレゼントなんていらないし…」

伊武はそのまま神尾を抱き返した。

「…だから、その…代わりに…」

神尾は語尾を濁しながら、少し照れながら口ごもった。

伊武はその神尾の行動に少し違和感を感じながらも、しばらく傍観していようと思った。

突然、神尾と伊武の唇が重なり、神尾の舌が伊武の中に割って入ってくる。

神尾からの誘いともいえる行動に伊武は新鮮さと驚きが胸いっぱいに広がる。

そして、当然に伊武の身体が熱く火照る。

神尾は唇を離すと、おもむろに伊武のベルトを外し始めた。

「アキラ…!?」

伊武は一瞬びっくりしたが、傍観を続けた。

神尾はズボンを脱がし、伊武の大きくなった象徴を優しくふれた。

「深司、俺上手くないけど…」

神尾は伊武の顔を困った顔で見つめた。

その顔に伊武は愛らしさを感じて、体を震わせた。

神尾の初々しさの残る手と口が伊武の体を悦ばせた。

「アキラ…」

伊武の体が大きくふるえると伊武は神尾の手と口に欲望を解き放った。

「あ、ごめん。アキラ」

伊武はすかさずティッシュで神尾の手と口をふき取る。

「深司、お前すげー濃いし、苦…」

「うるさいな。仕方ないだろ、アキラがそんな顔するから…」

気恥ずかしそうに伊武は顔を逸らした。

神尾はすかさず、自分のズボンも脱いだ。

「深司、その…今日は俺が…その…」

どう言ったらいいのかわからない神尾は口ごもり、伊武の上にまたがる。

神尾のやろうとしていることが一瞬で伊武にはわかったのだが、

そのまま挿入しようとする神尾を制した。

「アキラ、多少慣らさないと…」

伊武はサイドボードに置いてあるローションを手に取った。

適当に手にとり、神尾の秘所に塗ると神尾の体に一瞬ひんやり感が伝わる。

「深司…もう平気だから…」

神尾は伊武の手を制して、行動に移る。

ローションを塗ったはいいが、慣らしてない分、痛みが走る。

「アキラ、無理しないでよ」

「大丈夫、だって、せっかくの深司の誕生日なのに…俺、こんなことしかできないし…」

痛みに耐えながら、笑みを浮かべる神尾に伊武はさらに愛おしく感じた。

「俺はアキラとこうしているだけでいい…むしろそれだけでいい…」

伊武は手伝ってあげる。とつぶやくと、神尾の腰に手をそえた。

急に伊武の力が加わり、勢いは激しく加速していく。

「あ、深司…ダメ…」

「アキラ、好きだよ。一緒にイこう」

伊武は神尾に優しくキスをする。

「深司…誕生…日…おめでと…」

二人は同時に解放した。






翌日、橘さんのもとに電話が入った。

学校は休みだったが、部活はある日であったのだが。

「何だ、深司か。どうした?」

橘は神尾と伊武の関係を知っている人だ。

しかも橘は神尾に保護者以上に過保護気味で、伊武も手を焼いたくらいだった。

『橘さん、今日の部活なんですけど、俺とアキラ休みます』

「何かあったのか?」

嫌な予感はしたが、橘は聞いてみた。

『実は昨日…』

プッ

橘は最後まで聞かずに電話を切った。

昨日は伊武の誕生日なのは知っている。

橘は怒りを抑えながら、部活に戻った。

何も知らない他の部員は体力作りだと称し、グランドを走らされた。

後日、伊武が橘に怒られていた。




とりあえず、平和。



おわり